中国南方航空、スカイチーム脱退!三大アライアンス再編へ!?

投稿日:2018年11月17日 更新日:

中国でも最大規模を誇る航空会社、中国南方航空(南航)が2018年内をもってスカイチームを脱退すると発表しました。

日本を含めたアジアの航空情勢に大きく影響を与える、アライアンス再編にも繋がる動きであり、その背景と展望を探ってみました。

その後の続報についてまとめました。(2019/1/9投稿)

スカイチームから正式脱退が決定しました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。(2019/12/28投稿)

中国南方航空とは?

1991年に、かつての中国民航が分割民営化された際に設立された航空会社で、南部の広州をハブとしています。日本での知名度は北京をハブとする中国国際航空(国航)、上海をハブとする中国東方航空(東航)にやや劣りますが、珠江デルタ地域の著しい発展を背景に、世界最大の旅客機A380を5機運用するなど中国でも最大規模を誇ります。

日本にも広州など複数の都市から、羽田、成田、関西、中部などに就航して多数の便を運行しており、JALともコードシェアを行っています。

アライアンスという観点では、南航東航がスカイチームに所属し、国航がスターアライアンスに所属、ワンワールド所属会社はありません。この三社にアライアンスには所属していない海南航空を加えた四社が、中国では四大航空会社と呼ばれています。この他には、各社の子会社である厦門航空、上海航空、深圳航空などが親会社と同じアライアンスに所属していますが、ここでは省略します。

スカイチーム脱退の理由は?

ワンワールドに所属するアメリカン航空との出資を伴う提携強化が、直接的な最大の要因でしょう。

前述のように、中国では南航と東航の二社がスカイチームに所属していますが、東航はスカイチームの設立メンバーであるデルタ航空との関係が強く、出資も受けています。北米への戦略的提携においてデルタ航空を取られてしまった格好となった南航は、2017年3月にワンワールドに所属するアメリカン航空の出資を受け入れコードシェアを行うなど、アライアンスを超えた提携を進めていました。

中国と北米間の航空会社の提携関係を表にすると下記のようになります。

中国北米アライアンス
中国国際航空ユナイテッド航空スターアライアンス
中国東方航空デルタ航空スカイチーム
中国南方航空アメリカン航空ワンワールドへ?

また、スカイチームには大手航空会社だけで二社が所属しているだけでなく、周辺諸国を見ても台湾の中華航空、韓国の大韓航空、ベトナムのベトナム航空が所属しており、スカイチーム所属の航空会社がやや過多となっていました。

アメリカン航空との提携の時点から、南航のスカイチーム脱退、そしてワンワールドへの移籍の可能性は囁かれており、今回の決定は当然の帰結でした。買収や合併、破産を伴わないアライアンス脱退は珍しいのですが、南航のスカイチーム脱退には、このような背景が存在していました。

今後の中国南方航空の展開は?ワンワールド加盟や、その影響は?

現時点では、南航が発表したのはスカイチーム脱退のみであり、ワンワールドなど他のアライアンスへの加入は公表していません

エミレーツ航空や、中国国内の海南航空などと同様にアライアンスには所属せず、個別に各社と提携を結んでいくのか、それとも資本関係のあるアメリカン航空が待つワンワールドへ加盟するのか、今後の動向が気になるところです。

近年のアライアンス移籍の例を見ますと、2012年2月にアメリカン航空に買収されたUSエアウェイズはその時点で移籍の意向を示しており、2014年3月にスターアライアンスを脱退、ワンワールドに加盟しています。2012年6月にLAN航空に買収されたTAM航空は、2013年3月に移籍を発表、2014年3月にスターアライアンスを脱退、ワンワールドに加盟しています。また新規加入の例を見ても、アライアンス加入には少なくとも1~2年の準備期間が必要であり、南航がスカイチーム脱退直後の2019年初頭にワンワールドに加盟するのは難しいのではないかと私は考えます。

また、ここまで敢えて名前を出してこなかったのですが、香港にハブを置くワンワールドの設立メンバー、キャセイパシフィック航空の動向が南航のワンワールド加盟に影響してくるでしょう。キャセイが南航のワンワールド加盟に影響する理由は2つ、地理的要因と、南航と同様にアライアンスを超えた資本提携をキャセイが行っているからです。

1つ目の地理的要因ですが、南航がハブを置く広州と、キャセイがハブを置く香港はとても近距離にあります。どちらも珠江デルタ地域内にあり、直線距離では120kmほど。今年の9月には広深港高速鉄道が香港まで開通し、両都市間は最速47分で結ばれるようになりました。広州と香港、同じ国内でありながらパスポートチェックもある二つの都市間ですが、香港の中国返還後、その距離は徐々に近づいていると言えるでしょう。もし、現状のまま南航がワンワールドに加盟したならば、南航と東航のスカイチーム同居よりも、さらに複雑な問題が両社の間には生じるかもしれません。

2つ目のアライアンスを超えた資本提携ですが、キャセイはスターアライアンスに属する国航から出資を受けています。これは他アライアンスのアメリカン航空の出資を受けていた南航に近い構図であり、キャセイのスターアライアンス移籍も噂として囁かれ続けています。かつて香港は海外から中国への玄関口として、キャセイも存在感を発揮していました。しかし、中国本土の各社が海外へ直行便を飛ばすようになったことや、香港エクスプレスを筆頭とするLCCとの競争にさらされ、近年は赤字が続いています。

更なる成長を求めてアメリカン航空の出資を受け入れた南航と異なり、国航のキャセイへの出資は救済の意味合いも含まれるだけに、今後の情勢によっては国航によるキャセイの経営権取得、即ち買収、そしてスターアライアンス移籍も可能性としては考えられます。もしも、キャセイがスターアライアンスへ移籍することになれば、1つ目の地理的要因の問題はクリアされることになり、南航のワンワールド加盟の動きは加速するでしょう。

このように、南航の今後については、キャセイの動向とセットで考える必要があります。また今回の動きがキャセイと国航の関係強化、そしてスターアライアンスへの移籍の引き金を引くことになるのかもしれません。

(個人的には、サービスやラウンジの素晴らしさなど、キャセイには思うところがたくさんあるのですが、今回は置いておきます)

まとめ

中国南方航空のスカイチーム脱退と、その背景、今後の展望についてまとめてみました。単なる中国の一航空会社のアライアンス離脱ではなく、三大アライアンス再編の引き金を引くかもしれない今回の決定、今後の各社の動向から目を離せませんね!

その後の続報についてまとめました。(2019/1/9投稿)

スカイチームから正式脱退が決定しました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。(2019/12/28投稿)

以上、「中国南方航空、スカイチーム脱退!三大アライアンス再編へ!?」でした。

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