中国南方航空、スカイチーム正式脱退へ

投稿日:2019年12月28日 更新日:

2018年11月、中国でも最大規模を誇る航空会社、中国南方航空(南航)が航空連合スカイチームを脱退すると発表し、2019年は脱退に向けての移行作業を行ってきました。

先日、南航から移行作業の完了と、予定通りに正式脱退するという発表がありましたので、現状についてまとめました。

スカイチーム脱退発表時にまとめた、スカイチーム脱退の理由ワンワールド加盟の可能性などについては、こちらの記事をご覧ください。

その後の南航とスカイチームのステータスや各種特典の扱い南航とワンワールド各社との動きについては、こちらの記事をご覧ください。

中国南方航空とは

1991年に、かつての中国民航が分割民営化された際に設立された航空会社で、中国南部の広州が拠点です。日本での知名度は、北京が拠点の中国国際航空(国航)、上海が拠点の中国東方航空(東航)にやや劣りますが、珠江デルタ地域の著しい発展を背景に、世界最大の旅客機エアバスA380型機を5機運用する中国でも最大規模の航空会社です。

中国南方航空のエアバスA380-800型機
photo by Melv_L – MACASR

日本にも広州など複数の都市から、羽田、成田、関西、中部など各地に就航して多数の便を運航しており、JALともコードシェアを行っています。特に2020年1月からは、成田に就航する航空会社では最多の中国10都市とのネットワークを形成する予定になっています。

航空連合(アライアンス)には、南航と東航がスカイチームに所属し、国航がスターアライアンスに所属、ワンワールド所属航空会社はありません。この三社に無所属の海南航空(海航)を加えた四社が、中国では四大航空会社と呼ばれています。

この他には上記各社の子会社である厦門航空、上海航空、深圳航空などが親会社と同じ航空連合に所属していますが、ここでは省略します。

スカイチーム正式脱退日はいつ?

2019年12月24日付けで、南航の公式サイトでプレスリリースが出ました。大まかな内容は下記の通りです。

  • 移行期間は2019年12月31日で終了し、翌日の2020年1月1日にスカイチームを正式に脱退する
  • スカイチーム各社とのコードシェア便の運航は今後も継続する
  • アメリカン航空やJALなどのワンワールド各社やエミレーツ航空とのコードシェア便の運航を拡大していく

このプレスリリースの原文は、こちらをご覧ください。
中国南方航空公式サイト Announcement

これまでの予定通り、2020年を迎えると同時にスカイチーム脱退となりました。また、移行期間は引き続き可能だった、スカイチーム各社の上級会員が南航で、逆に南航の上級会員がスカイチーム各社で優先チェックインやラウンジを利用することができなくなることも、事前にアナウンスされています。

南航のワンワールド加盟はあるのか?

可能性は高いのですが、現時点ではまだ分からないと言えるでしょう。

以前の記事でもまとめたように、出資の受け入れ、コードシェア拡大、マイレージプログラムの提携、ラウンジアクセスの提供、そして1月からはイギリスのブリティッシュ・エアウェイズとの共同事業も開始するなど、ワンワールド各社との関係を強化しているのは事実です。

中国本土の四大航空会社はワンワールドに所属しておらず、南航が加盟となればバランス良く恩恵を受けられるのも確かでしょう。

ただ、現状では南航やワンワールド側からの発表は一切無いことから、2020年初頭のスカイチーム脱退と同時のワンワールド加盟は無く、南航はアライアンス無所属となることは確実でしょう。

ワンワールド加盟の最短スケジュールは?

ここで近年のアライアンス移籍の例を見ると、スケジュール的には以下のような状況でした。

  • USエアウェイズ (スターアライアンスからワンワールドへ)
    2012年2月にアメリカン航空に買収と同時に移籍発表 → 2014年3月に移籍
  • TAM航空 (スターアライアンスからワンワールドへ)
    2013年3月移籍発表 → 2014年3月に移籍

さらに今回の南航のスカイチーム脱退や、アライアンス新規加入の例を見ても、少なくとも1~2年の内部的な準備期間と、発表してから実施されるまで外部的な周知期間が1年は必要と考えられます。

早期に南航がワンワールドに加盟すると仮定しても、スカイチーム脱退直後の2020年1月に発表、2021年1月に加盟が最短のスケジュールでしょう。年明けの南航の動向には注目ですね。

ワンワールド加盟への問題は?

スケジュールの他にも、広州に拠点を置く南航と、香港に拠点を置くキャセイパシフィック航空、この2社の拠点が非常に近接していることも、南航のワンワールド加盟が容易でないことの理由のひとつです。

キャセイパシフィック航空のボーイングB777-300ER型機
photo by Gerard van der Schaaf

広州と香港はどちらも珠江デルタ地域内にあり、直線距離では120kmほどです。2018年には広深港高速鉄道が香港まで開通し、両都市間は最速47分で結ばれるようになりました。同じ国内でありながらパスポートチェックもある両都市間ですが、香港の中国返還後、様々な動向が示すように、その距離は徐々に近づいていると言えます。

もっとも、これまでも中国本土内で南航と東航の2社がスカイチームで同居していた訳ですから、南航とキャセイの両者がワンワールドで同居することになっても、直接的な問題がある訳ではありません。

また、キャセイも南航と同様にスターアライアンス移籍の可能性があります。詳しくは以前の記事を参照して欲しいのですが、キャセイの動向も合わせて注視する必要があるでしょう。

まとめ

これまでもスカイチーム脱退を発表した南航の動向を追ってきましたが、ついに正式脱退が決定しましたので、現状をまとめました。

日中両国間の運航便数も増加の一途を辿っており、南航と東航の両社と提携するJALの動向にも大きく関わってくる動きです。南航が正式にワンワールドに加盟し、JALと協力してサービスレベルを向上してくれると嬉しいですね。 

今後、特に年明けは引き続き南航、キャセイなど各社の動向に注目していきたいと思います。

スカイチーム脱退発表時にまとめた、スカイチーム脱退の理由ワンワールド加盟の可能性などについては、こちらの記事をご覧ください。

その後の南航とスカイチームのステータスや各種特典の扱い南航とワンワールド各社との動きについては、こちらの記事をご覧ください。

以上、「中国南方航空、スカイチーム正式脱退へ」でした。

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