飛行機からインターネットに接続できる機内Wi-Fiサービスも、だいぶ普及してきました。しかし、使える便と使えない便があり、普及はまだまだという状況です。まずはANA国際線の状況をまとめてみました。
目次
ANA国際線のWi-Fiサービスは2種類ある
ANAの国際線では2014年にサービス開始されたANA WiFi Serviceと、2015年にサービス開始されたANA WiFi Service2の2種類があります。それぞれ、料金や速度に違いがあるので要注意です。
ANA WiFi Service
オンエア社による「インターネットオンエア」を利用したシステムです。時間と容量の双方に制限がある料金プランとなっており、$19.95のフルフライトプランでさえ100MBが上限となっています。
人工衛星から飛行機の間の通信速度は最大で432kbpsしかない為、実際の利用速度は最高でも数100kbps程度とかなり遅く、テキストのみのメールやSMSやLINEなどのテキストメッセージのやり取り程度にしか耐えられません。
「ANA国際線のWi-Fiは遅くて使い物にならなかった」という意見を見掛けますが、ほとんどがこちらのANA WiFi Serviceを使った際のものと考えられます。サービス開始当初はともかく今となっては、非常手段と割り切った方が良い代物ではないかと個人的には感じています。
ANA WiFi ServiceはB777-300ER型機と、B767-300ER(202席仕様)型機に搭載されており、特に前者は看板路線に投入されている機種ではありますが、利用はおすすめできません。以上の理由により、本稿は主に新サービスのANA WiFi Service2についてまとめていきます。
ANA WiFi Service2
パナソニックアビオニクス社によるexConnectというシステムを利用しています。JAL(国際線のみ)やルフトハンザなど採用しているエアラインも多く、実績もあるシステムです。
こちらのANA WiFi Service2であれば、他社と同等レベルのサービスとなります。
料金プランや速度、使用感は?
ANA WiFi Serviceは容量にも制限がありましたが、ANA WiFi Service2は利用時間に対して料金が掛かり通信容量は無制限です。
料金プラン
ANA WiFi Service2の料金プランは以下の通りです。
利用プラン | 利用時間 | 料金 |
---|---|---|
30分プラン | 30分 | $6.95 |
3時間プラン | 3時間 | $16.95 |
フルフライトプラン | 24時間 | $21.95 |
JAL国際線のWiFiサービスと比較しても、やや高めの設定となっていますね。
速度
飛行機から衛星間の速度は公表されていませんが、最大で30~50Mbps程度のようです。この回線を機内の利用者で分け合って利用しますので、実際の利用速度は最大でも1Mbps程度という報告が多いようです。
飛行エリアによっても通信状況が変わることや、一つの回線を機内の利用者で分け合って使うことから、実際の利用速度は大きく変動します。私が欧州線で利用した際にも、同じフライト中でも時間帯によって、快適に利用できたり、また繋がりにくくなったりということがありました。
メールやTwitter、Facebook、LINEなどのSNS、ニュースのチェック、あまり通信量の多くないソーシャルゲームなどであれば、やや待ちながらも利用可能という印象を受けました。高解像度の写真のアップロードや、YouTubeの動画視聴など、通信量の多いサービスは避けた方が無難でしょう。
使用感など
使用できる端末は1台までですので、パソコンとスマートフォンで同時に接続するようなことはできません。しかし、相互に切り替えて接続することは可能です。パソコンで仕事のメールを送信した後、スマートフォンでSNSとニュースチェックをするような使い方はOKです。
国内線と異なり無料サービスではない上に、通信速度も高速ではありませんが、長時間のフライト中にSNS、ニュース、ソーシャルゲームを利用できることに意義を見いだせる人にはとても重要なサービスだと思います。
私であれば、以下のような使い方をします。
長距離路線 (昼行便) | フルフライトプラン |
---|---|
長距離路線 (夜行便) | 3時間プラン |
中距離路線 (昼行便) | 3時間プラン |
中距離路線 (夜行便) | 30分プラン |
短距離路線 | 利用しない |
起きていて暇な時間があるかどうかがポイントですね。食事や睡眠を取った後、まだ到着まで時間があるような場合に、我慢しきれずに利用したケースが多いです。
導入機材
導入されている機材、導入されていない機材・路線は下記のようになっています。
導入されている機材 (ANA WiFi Service2)
前述のANA WiFi Service2が導入されている機材です。
B787-9
B787-9は全機導入済です。時刻表ではWi-Fiマークと共に789と表記されています。
欧米長距離路線や、ハワイや東南アジアの中距離路線などに投入されています。
B787-8
B787-8はビジネスクラスにBUSINESS CRADLEを装備した240席仕様機の一部のみの設置です。BUSINESS STAGGERED装備機には導入されていません。時刻表では788と表記されている便でCYのみの2クラスで運航される便の一部となり、利用できるかは運次第というところです。
この240席仕様機は、東南アジア、東アジアの中短距離路線への投入が多いようです。
A320neo
A320neoは全機導入済です。時刻表ではWi-Fiマークと共に320と表記されています。
中国を中心とした東アジアの短距離路線に投入されています。
導入機材 (ANA WiFi Service)
こちらはANA WiFi Serviceが導入されている機材です。一応、導入はされていますので、念の為に記載しておきます。
B777-300ER
B777-300ERは全機導入済です。時刻表ではWi-Fiマークと共に773と表記されています。
ANAで現時点では唯一のファーストクラス設置機種で、ニューヨーク、ロンドンなどの看板路線に投入されています。旗艦機とも言える機種だけに、ANA WiFi Serviceの方が導入されている現状は、非常に残念です。
B767-300ER
B767-300ERはビジネスクラスにBUSINESS CRADLEを装備した202席仕様機には全機導入されています。旧型シートの214席仕様機には導入されていません。時刻表では767と表記されていますが、202席仕様と214席仕様を事前に見分けるには、シートマップを注意深く確認するしかありません。
現在では活躍の場も減り、中国を中心とした東アジアの短距離路線に投入されています。
導入されていない機材
B787-8のBUSINESS STAGGERD装備機(導入中とのことです 2019/3追記)とBUSINESS CRADLE装備機の一部、B767-300ERの旧型シート装備機、B737-700にはWiFiサービスは導入されていません。
まとめ
残念ながら中長距離で安心して利用できるのはB787-9型機だけという極めて残念な状況です。旗艦機であるB777-300ERのANA WiFi Serviceは貧弱なものであり、欧米路線でも活躍するB787-8のBUISINESS STAGGERED装備機には導入すらされていません。私が特典航空券で欧州旅行に行った際にも、わざわざB787-9型機の投入路線を選ばざるを得ませんでした。
サービスの充実度、料金など、WiFiサービスではライバルに水をあけられているANA、今後の改善と巻き返しに期待しています。
ANA国内線についてはこちら。
JAL国際線についてはこちら。
スターアライアンス編についてはこちら。
以上、「ANA国際線のWi-Fiまとめ (2018年9月)」でした。